ミヤマシジミ雌雄型:2013.8.4.山梨県富士吉田市産 野外採集

2013年の蝶観察情報に、生態写真(生きてるけど室内撮影)を載せたやつです。

だいぶ前に展翅が上がっていましたが、撮影をオサボリしていました。

生きているときはもう少しまともな個体かと思っていました。

展翅したら…かなりというか、相当のボロでした。


こんな奴もあったことを思い出しました。

岐阜県産。飼育羽化品。

クモツキでは、表がオスで裏がメスといったような雌雄型があるとか…

オオムラサキでは前翅がオスで後翅がメスの雌雄型があるとか…

詳しい方曰く、垂直型とか水平型とか呼ぶそうな。

それにしても左右だったり、前後だったり、表裏だったり、あるいはごちゃまぜだったり、どういう成因でこんな雌雄型が出来上がるんでしょうかね。

自然って面白いです。


フタスジチョウ雌雄型:1990.5.18.羽化 長野県南安曇郡安曇村島々谷産

何を隠そう、蝶歴20年でやっと手にした、自身初の雌雄型。

一見何の変哲もないフタスジに見えますが、胴体の真ん中で真っ二つの完全なギナンドロモルフです。前翅後縁と後翅前縁に渉る銀色の♂の性票が左には認められます。白斑も各々該当部位を比較していけばいちいち異なっているのがわかるかと思います。触角の長さや複眼の大きさ、果ては展翅前に引っ張り出したところストローの左右のパーツも長さが異なっていました。


ツバメシジミ雌雄モザイク:2012.7.21. 静岡県三島市北沢 野外採集

次女の誕生日ラベル確保に出向いた際採集。左後翅にくっきりと青い部分が出ています。ある方がこれを見て、同列転換説を唱えていましたが…じつはこの個体表がすべて♀。どこにもこんな青い部分は見当たらず、転換してくる元がないのでは、同列転換説もあまり説得力がないかと思っています。

雌雄型ってだけでもそうそう出会えるものではないはずですが、子供の誕生日記念日ラベルで、しかも採集地が在住市域なんていう確率は…ほぼゼロなのではないかと思っています。スゴイ偶然です。


ゴマダラチョウ雌雄モザイク:2012.6.10. 静岡県伊豆の国市長瀬 野外採集

アサマイチモンジを相手に追尾したりされたりしているところに空中戦を挑み採集。手にして、なんだか汚い奴だなあ、と思いながら、片側だけ汚いのも変だし確保しておこうと思った個体です。

ご覧のとおり、右翅は綺麗な♂、左前翅は…所々鱗粉が剥げたようなまだらを示していますが、実体顕微鏡で確認したところ、鱗粉はちゃんと乗っています。そして、左後翅は広い範囲で薄い地色になり、その部分は極端に白斑も大きくなって、典型的な春型♀の特徴かと思います。後縁近くに逆に濃い部分も見られ、♂の色合いのモザイク状の入り込みと思われます。翅形も左後翅は横長でメスのパターン。

交尾器はオスでした。


コキマダラセセリ雌雄モザイク:2010.7.10. 山梨県南都留郡富士河口湖町本栖高原 野外採集

左後翅が♀。また左前翅のオスの性票の外側にも一部♀の色調がモザイク状に入り込んでいます。裏面で見るとその特徴は顕著。とはいいつつ、展翅して初めて雌雄モザイクに気づきました。

多数のコキマが舞う中から、当日はこれを含め2頭だけ持ち帰りました。切れ・欠けのあるこの個体を持ち帰りの対象にした理由が今もってわかりません。それこそ、なんとなく変、っていう虫屋の勘でしょうか。


ヤマキチョウ雌雄モザイク:2011.8.14. 山梨県富士吉田市上吉田 自衛隊北富士演習地内 野外採集

左前翅に楔状に♀の白が入り込んでいます。

♀の個体と絡んで翔んでいるところを、まとめて採集。前翅が左右合わさらずいただけない個体と思いながら取り込みました。その時はモザイクに気付いておらず、展翅してびっくりです。

文献によるとヤマキは越冬後交尾とか書いてあるものもありますが、羽化してまもない盛夏でもメスにアタックするんですね。しかも一部に♀が入り込んでいながら。翅が切れて性別すらわからないくらい汚損しても、生殖機能はそのままということを考えれば、翅にいくら他の性が入り込もうと、ギナンドロモルフとは違い、モザイクの場合胴体が決まった性なら、その性別のとおりの行動をとることがわかりました。


ヒメシジミ雌雄モザイク:2011年6月 東北地方某所 野外採集品

産地について情報提供者さんの許可を得ていないので、某所とさせていただきました。

いわゆるアサヒ型というやつ。右後翅に楔に♀が入り込んでいます。


フジミドリシジミ雌雄モザイク2題

左:長野県飯山市関田 産

右:石川県金沢市 産     

いずれも飼育品。関田の方にはアンテナに修理が施されています。

関田は左前翅だけですが、金沢は右後翅にもわずかに♀が入り込んで袈裟切りのようになっています。


キリシマミドリシジミ雌雄モザイク:和歌山県古座川町 産

飼育品。表はすべて♀の紋様です。


ミヤマシジミ雌雄モザイク3題:すべて静岡県内某所産 中央のものだけ飼育品であとは野外採集

縦並びで表と裏を並べました。


ミヤマシジミ雌雄型:上のモザイクと同所産 野外採集


キタキチョウ雌雄型:岐阜県内某所産 野外採集

たいして貴重でもないのにキチョウ、なんてくだらないオヤジギャグをよく飛ばしていましたが、これは貴重なキチョウ。