2013.2.26.(火)報告 種の保存法の解釈について

2004年に種の保存法が制定され、ここにきてヒョウモンモドキが昇格し、扱いが非常に難しくなってきました。知らずに行った行為が処罰の対象になってはたまりませんので、環境省野生生物課に問い合わせ、具体的な行為の可否について尋ねてみました。その結果を示します。

 

まず、当たり前ですが、新たに捕獲なんてもってのほか、指定前のものであったとしても標本の販売・譲渡は厳禁です。標本の管理ができなくなった場合、個人間での管理依頼は禁止。許可を得て、公的機関(博物館や大学の研究施設など)へ委託するしか現時点では方法がないとのこと。また、破棄は個人の自由で処罰の対象とはならないようですが、たとえ部分であっても種を確定できる状態(胴体の先端から交尾器を検索して種を決められる、など)はダメで、わからないくらいに破砕するか、あるいは焼却といった手段を取るしかないようです。

解釈の難しいところとして、陳列の禁止という項目がありますが、これはやはり販売・譲渡を目的とした場合であって(たとえば値札をつけているとか)、記録の提示・蓄積といったものや、HPへの記載などは全く問題がないようです。

そして皆さん気になるところの累代飼育。これに関しましては、規制前に採集された母蝶からのものであれば、まったくの対象外だとのことです。飼育継続も、その飼育で得られた成虫を標本にすることも問題なし。しかし、成虫を譲り渡したり、飼育を誰かに委託したりは、当たり前ですが譲渡に当たるので禁止。結局自分だけで楽しむことだけが認められるようです。累代につきものの、新しい血を混ぜる行為は、他人の手に一度は生体が渡ることになるので、交尾させた後に元の持ち主に戻したとしても、禁止行為に当たるそうです。種の保存法といいつつ現状ではケージの中でしか生きていけない、というかケージの中だからこそ生きていられる種に関しては逆に途絶えさせてしまう方にしか向いておらず目的に矛盾する法律ですね、と尋ねたら、現状はそう言われても仕方がない状況ですと、担当者も苦しそうに言っておりました。

以上、おおよその回答です。

これはあくまでも種の保存法に関して。各県や市町村の条例で禁止された種などに関しては該当しませんので間違いのないようにお願いいたします。


2012.9.20.(木)報告

2007年春、ゼフの飼育に熱中していた時のこと。

熊本県産ハヤシミドリシジミを200㏄プリンカップで孵化直後から完全単独飼育していました。野外採卵の越冬卵を入手し、自宅で孵化から見届けたものですので、1カップに1頭しか入れていないことは間違いありません。

餌として、三島市東大場でクヌギの新芽を採取し与えていました。

ある日、1カップには1幼虫しか投入していないにもかかわらず、複数の幼虫が見られるのに気づきました。ハヤシミドリは当然1幼虫ですが、他種(オナガシジミ系)の幼虫が多いもので1カップ2幼虫、ほとんどは1幼虫、トータルで7幼虫確認できました。ミズイロオナガシジミは生息していますので、ミズイロの混入と思い、でも捨てるのも忍びないのでこれも分けて飼育していたところ、うち4頭が成長に従いウスイロオナガの特徴である背の部分に赤いラインが入るようになってきたのです。まさかと思いつつも飼育継続し、幸い4頭とも無事羽化までこぎつけ、やはり予想通りウスイロオナガシジミが羽化しました。残りの3頭はこれもまた幼虫同定に間違いはなかったようでちゃんとミズイロが出ました。

経緯からしますと餌についてきて混入したものとしか思われません。ハヤシと思っていた野外採卵の卵がウスイロだったとしたら…九州しかも熊本産のウスイロということで、これもまたとんでもない話になってしまいます。

その後も同地より採取した餌を使っての飼育は行いましたが、ウスイロ混入はこの時だけでした。人為的なものであるだろうということは明らかですが、あり得ない場所でのあり得ない蝶の記録として記載しておきます。

下に写真を示します。 

2007年5月羽化:産地:静岡県三島市東大場 野外採幼